皆さんは、日本企業の平均財務レバレッジをご存知でしょうか?
財務省が公表している平成23年度の法人企業統計年報によると、
全産業の平均財務レバレッジは、2.86倍という数値になっています。
この平均財務レバレッジ2.86倍という数値に、どんな意味があるのかを
理解する為には、財務レバレッジを算出する計算式を確認しておく必要
があります。
この財務レバレッジは、企業の総資産を自己資本で割ることで算出
していますので、その計算式からも明らかなように、負債を多く活用
すればするほど、この数値が大きくなることになります。
ここで、財務レバレッジの効果とリスクを理解していただく為に、
株式投資を例にして説明してみます。
株式投資をするためには、投資資金を用意する必要がありますが、
その投資資金は可能な限り当分使う予定がない余裕資金を利用するべきです。
なぜなら、株式投資においては、期待する成果が表れるまでに、
どれくらいの時間を要するのか正確に予測することは不可能だからです。
このような理由から、株式投資に使用する資金は、当分使う予定がない
余裕資金を利用するべきだと言われています。
次に、株式投資を自己資金だけで行った場合を最初に考えてみます。
株式投資で、自己資金100万円を全て利用して30%のリターンを得る
ことができた場合には、利益は当然30万円となります。
ここで、株式投資の初心者は、簡単に30%儲けることができるのなら、
もっと多くの資金を投資すれば、更に利益を増やすことができると考え、
信用取引を利用することを考えます。
株式投資における信用取引とは、証券会社に預けた保証金の約3倍まで
株を買うことができる取引のことです。
例えば、自己資金100万円を全て保証金とすれば、最高300万円まで株を
買うことができますので、30%のリターンを得ることができた場合には、
利益は当然90万円となるわけで、自己資金に対するリターンは90%
になるのです。
これこそが、財務レバレッジの効果であり、自己資金以外の資金を活用
することにより、自己資金だけで投資する場合よりも、3倍の効果が
あるわけです。
しかし、株式投資は何時も上手くいくわけではありませんので、
自己資金100万円を全て保証金として、最高300万円まで株を買った場合に、
30%の損失を被った場合には、損失は当然90万円となるわけで、
自己資金に対する損失の割合は90%になってしまい、元金が10万円
になってしまいます。
これこそが、財務レバレッジのリスクであり、この財務指標を高めれば
高めるほどリスクも高くなるのです。
また、ここまでの説明をお読み頂けば、財務レバレッジを高めると、
株主資本利益率(ROE)を高めることができると言われている理由も、
ご理解頂けるはずです。
このように、企業経営においても財務レバレッジは、株式投資のケースと
同じで効果とリスクの両面を持ち合わせています。
企業経営の場合は、自己資金だけで、事業を行う場合は、当然、事業規模
も小さくなりリターンも小さいのですが、その分、リスクも小さいのです。
逆に、負債を最大限に活用して、事業規模を大きくすればするほど、
大きなリターンを期待することができますが、リスクも比例して高く
なるのです。
ゆえに、財務省が公表している平成23年度の法人企業統計年報データである、
全産業の平均財務レバレッジ2.86倍という数値の意味がどのような意味を
持つのかもご理解頂けたことと思います。
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